流通業の構造改革を目指す「リテールAIプラットフォームプロジェクト」は、2月25日、東京・新宿のパークハイアット東京で戦略発表会を開催した。
同プロジェクトは、トライアルカンパニー(福岡県福岡市)とその取引先5社(サントリー酒類、日本アクセス、日本ハム、フクシマガリレイ、ムロオ)が昨年11月に立ち上げた業界横断型のプロジェクト。「日本の小売り・流通業のムリ・ムラ・ムダは、市場規模140兆円の三割に当たる」(同プロジェクト)ことから、メーカー、卸、小売り、物流業者、什器メーカーが連携し、効率化を推進。AIを活用して得たデータを元に、流通の各段階の生産性向上を図るとともに、消費者の買い物体験を通じ生活の質の向上を目指す。戦略発表会では、参加企業各社が、データを使ったマーケティングなど、取り組みの成果を発表した。
トライアルカンパニーでは、子会社のRetail AIが開発したAIカメラや電子棚札、セルフレジカート、サイネージを活用したスマートストアの展開を進めている。2018年2月の「アイランドシティ店」(福岡県福岡市)を皮切りに、「大野城店」(福岡県大野城市)、「新宮店」(福岡県新宮町)をスマートストア化。昨年11月には、今後2年間で福岡県、佐賀県の60店舗をスマートストア化する方針を打ち出したほか、今年4月24日には、九州以外で初となるスマートストア「長沼店」を千葉市にオープンする予定。
これまでの取り組みでは、店内の人の動きや棚の商品の動きを見て迅速に品出しをすることでチャンスロスが減るといった成果が出ているが、Retail AIの永田洋幸社長は、「それ以上に、今まで流通業で見えなかったデータが見えるようになったことが大きい」と言う。ただ、「現時点はようやくビッグデータが見えるようになったところ。より多くのメーカーや小売業がこのプロジェクトに参加することで得られるデータが増え、流通業の構造改革に役立つ知見も得られる」(永田社長)として、メーカーや小売業に対し、プロジェクトへの参加を呼び掛けた。
(冒頭の写真は、「リテールAIプラットフォームプロジェクト」の参加企業メンバー。一番左がRetail AIの永田洋幸社長)