製造業の在庫調整はあと一息のところだった

 新型コロナウイルスの蔓延により、世界経済は大きな転換点を迎えつつある。経済への影響度合いは、今後のウイルス感染の拡大次第で異なると思われるが、感染の広がりやピークアウトの時期を予測することはできない。しかし、多くの国でリーマンショック後継続していた戦後最長規模の景気拡大は、終焉を迎える可能性が高い。

 新型コロナウイルスが世界の懸念要因として浮かび上がる、今年1月頃までの世界経済は、減速傾向にありながらも底堅さは維持しており、先行き回復の兆候が見え始めていた。

 改めて当時の世界経済の状況を振り返ると、製造業部門では在庫調整局面にあって、生産活動が抑制されて減速傾向を辿っていた。一方で、長期景気拡大による記録的な低失業率や、インフレの沈静による低金利を背景に個人消費は欧米主要国を中心に好調さを保っていた。減速基調の製造業に対し、堅調な非製造業が支え役となることで、景気全体の失速が回避されている状態は昨年から続いていた。

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