ウォルマートは6月23日、インターネット接続型テレビ(コネクテッドTV)向け広告配信の自社運用型サービスを提供するヴァイブ・ドット・コの買収に向けた最終合意を発表した。取引金額は非公開で、米国の独占禁止法に基づく審査期間の満了または早期終了を含む所定の手続きを経て、今2027年1月期末までのクロージングを見込む。ウォルマートは今期の売上高・営業利益の見通しへの影響はないとしている。
ヴァイブ・ドット・コは、中小規模のブランドや成長段階にある企業が、コネクテッドTVへの広告出稿をソーシャル広告と同様の操作感で行える自社運用型の配信基盤として開発された。直接契約による供給パートナーとの連携、独自の広告技術、AIを活用した成果重視の最適化機能を備え、広告主がプレミアムなコネクテッドTV枠へ効率よくアクセスできる仕組みを提供してきた。現在1万社以上の広告主を持ち、高度な対象絞り込み、広告効果の測定、AIによる最適化機能を組み合わせることで、ネット動画広告をデジタル広告と同等の透明性と即応性で運用できる環境を目指している。
ウォルマートの広告部門「ウォルマート・コネクト」は、ヴァイブ・ドット・コの自社運用型コネクテッドTV配信基盤と、ウォルマートが持つ購買行動に基づく視聴者データおよび効果測定機能を組み合わせることで、より多くの広告主がコネクテッドTVを活用し、その効果を実際の購買に結びつけて把握できる環境を整える方針だ。対象として特に想定されているのは、専門的なメディア運用チームや潤沢な予算を持たない中小・中堅規模の広告主や、ウォルマートの外部事業者向けオンライン販売基盤に出品する第三者の販売者たちだ。
購買データと動画広告の融合へ、VIZIOに続く第二の布石
この買収は、ウォルマートがこれまで積み重ねてきたコネクテッドTV分野への投資の延長線上にある。同社は家電・スマートTV大手のVIZIOを買収したほか、広告配信仲介事業者のマグナイト、ヤフーの需要側配信基盤(DSP)、グーグルのDV360とも連携を進めてきた。今回の買収により、広告の企画立案から対象の絞り込み、広告素材の制作支援、配信、効果測定・最適化に至る一連の工程での障壁を下げ、コネクテッドTVを広告主にとってより使いやすく、成果の見えやすいメディアとして位置づける狙いがある。
ウォルマート・コネクトは既存のパートナーとのオープンな協力体制を維持する方針も明示しており、買収は広告主や取引先がウォルマート・コネクトの広告体系と関わる方法を制限するものではなく、選択肢と利便性を広げるものだと説明している。買収完了後、ヴァイブ・ドット・コのアーサー・ケルー最高経営責任者、フランク・テッツラフ最高技術責任者を含む同社チームはウォルマート・コネクトに合流し、既存の広告主・配信パートナー・技術パートナーとの関係を継続しながら事業の統合を進める予定だ。
コネクテッドTV広告の市場ではアマゾンやグーグルも独自のデータと視聴基盤を持って競合しており、ウォルマートがこの分野でどの程度の存在感を確立できるかは、今後の出稿者数や広告収入の推移に表れるだろう。















