当社は私の曽祖父が明治6年に創業した菓子問屋が前身で、新潟市の郊外にスーパーを1店舗営業しています。業績は祖父の代から赤字続きで、父の代で廃業も覚悟していましたが、今年3月に私が4代目の社長に就任し、経営を引き継いでいます。はじめは家業を継ぐつもりはなかったのですが、東京での会社員人生に限界を感じ、Uターンで最初はアルバイトとして働き始めました。
ただし、すでに30年ほど前には周囲に大型スーパーが乱立しており、若いファミリー層の集客に苦労していました。そこでまず取り組んだのが、SNSの活用です。インフルエンサーの方に教えを乞うなどしてインスタグラムの投稿を続け、フォロワーはゼロから2万人に増えました。
その上で推進しているのが、弱者ならではの「ジャイアントキリング戦略」です。一つ目が「徹底ニッチの商品構成」。大型スーパーが幅広い商品を低価格で売るのに対して、こだわり抜いた高単価の商品を並べるスタイルで勝負しています。たとえば、大阪の菓子工房の「夢どら」は生地がケーキのようにフワフワのどら焼きで、中にはとろりとしたカスタードクリーム。これは1日200個売れる日もあり、こうした大ヒット商品が次々と生まれています。
次に「情熱的な接客」です。大型スーパーがセルフレジなどで効率化を進めている中、当社は真逆の人海戦術で店員が袋詰めまでやっています。そこで「これが好きなんですね。こちらもおすすめですよ」とコミュニケーションが生まれるし、常連さんの顔と名前を覚えて「○○さん、ありがとうございます」と呼びかける。また、商品の製造現場を見学に行き、おいしさの秘訣や裏側の工夫をインスタや手作りPOPで発信する取り組みにも力を入れています。

そうした活動を通じた「変態的ファンの創出」が三つ目です。お店に愛着を持ってもらうためにオリジナルのTシャツやトートバッグを制作し、Tシャツは300枚以上販売するヒット商品にもなっています。また、あるお客様はインスタで自作の漫画でマスヤを紹介してくれたり、別の方はマスヤで見つけた魅力的な商品を素敵な写真で発信してくれたり。お客様自身による熱量の高い投稿が新たな口コミを呼ぶ形で、コストをかけなくともファンが増えていく好循環が生まれています。
私が入社して4年で売り上げは3倍に成長し、黒字へ転換。28年5月には隣の土地に店舗を移転オープンする予定で、そこでは体験型の仕掛けを打ち出していくつもりです。例えば、閉店後の夜間に店舗を食のエンタメ施設として開放したり、地域の方々と一緒に売り場をつくったり。長期的には海外出店も視野に入れており、マスヤは今後も三方よしを超える八方よしで末広がりの商いを目指していきます。(8月21日、全国スーパーマーケット協会にて)

















