オープンAIは、対話型AI「チャットGPT」での検索体験の大幅な改善と、それに伴うショッピング機能の導入を発表した。ユーザーはチャットGPTを通じて製品を検索・比較し、購入先のリンクを取得することが可能になった。本機能は、チャットGPTのFree、Plus、Proといったすべてのユーザープラン、ならびに未ログインのユーザーにも段階的に展開されている。
新機能は、チャットGPTに実装されている「検索機能(Search)」を強化する文脈で登場した。オープンAIによれば、検索機能は同社サービスの中でも急速に利用が拡大しており、2025年4月には1週間で10億件を超えるウェブ検索が行われたという。
製品検索から比較・購入まで
今回のアップデートにより、ユーザーが「○○ドル以下のミラーレスカメラ」「電動歯ブラシで評判の良い製品」といった具体的なリクエストを行うと、チャットGPTは製品の写真、価格、レビュー、評価といった情報をカード形式で提示する。さらに、購入先のECサイトへの直接リンクも付与され、実際の購入行動につなげやすくなっている。
オープンAIは本機能の特徴として、「表示される製品は広告ではなく、独立した基準に基づいて選ばれている」と強調している。つまり、従来の検索エンジンで見られる広告やプロモーションによる表示順位の偏りが排除されている点が特徴である。
現段階では、このショッピング機能はファッション、家電、美容、ホームグッズなど幅広いカテゴリーに対応しており、今後も対象領域を拡大していくと見られる。
オープンAIがショッピング機能を追加した背景には、既存のウェブ検索に対するユーザーのニーズ変化がある。近年、グーグルなど従来型の検索エンジンを利用する代わりに、生成AI型のサービスを使って情報収集を行うユーザーが増えている。
こうした流れの中で、チャットGPTはより対話的かつ柔軟な形式で製品の絞り込みや条件付き検索を行えることから、従来の検索に代わる選択肢としての位置付けを強化しようとしている。広告の非表示に加え、自然言語による曖昧な希望への対応、結果のカスタマイズ性といった点が既存の検索ソフトに対する差別化となるからだ。
技術的には、チャットGPTのデフォルトモデルとして採用された「GPT-4o」がこの新機能の基盤となっている。GPT-4oは検索機能を備えており、オープンAIが提携するサードパーティの検索プロバイダと連携しながら、ユーザーの要求に即したウェブデータを取得している。取得したデータは生成モデルを通じて要約・再構成され、視覚的に整えられた形で出力される。
今回のアップデートは、生成AIが「検索」の範囲を超えて「購買行動」の起点として機能する可能性を示したものである。従来、価格比較サイトや検索エンジンを経由して行われていた製品探しのプロセスが、チャットGPTの対話の中に自然に組み込まれていくことで、ユーザーはより直感的かつ効率的に選択と購買を進められるようになる。