3月の小売業売上高が市場予想を上回る前月比0.7%増(商務省発表)と堅調な米国経済はインフレ率の再加速が懸念されるほどだが、小売業界では優勝劣敗も鮮明になっている。

 日本の100円ショップにあたる「ダラーストア」大手であるダラー・ツリーは、全16774店の約6%である1000店舗弱を閉鎖する。313日に発表した20241月期決算は増収となったものの、8億ドルの営業赤字に転落15年に傘下に収めた同業「ダラー・ツリー」ファミリー・ダラー部門が足を引っ張っていた。4四半期(2311月~241月)の既存店売上高はダラー・ツリー部門の前年同期比6.3%増に対し、ファミリー・ダラー部門は同1.2%減だ。

 第4四半期に現在の市場環境や個々の店舗の業績などの評価に基づき、閉店、移転、再出店の対象となる店舗を特定する包括的な「店舗ポートフォリオ最適化レビュー」を開始。その結果、251月期の前半に約600店舗のファミリー・ダラーを閉鎖する予定。

 さらに、今後数年間でファミリー・ダラー約370店舗とダラー・ツリー約30店舗を、各店舗の現存のリース期間が終了した時点で順次閉店していく意向。4四半期には、店舗ポートフォリオ見直しに関連して59440万ドルの費用が発生した。さらに、のれん代の減損費用107000万ドル、商号無形資産の減損費用95000万ドルも計上済み。

 251月期は店舗閉鎖により後半から収益が改善し、連結売上高310億~320億ドル(前期306億ドル)を予想している。通期の既存店売上高は、ダラー・ツリー部門が1桁台半ば、ファミリー・ダラー部門が1桁台前半の増加を見込んでいる。