良品計画は「無印良品」で販売する衣料品の価格を見直し、10月2日から順次値下げに踏み切った。対象商品は自然素材を使ったシャツやニットなどのカジュアルウェア、インナー、靴下など72品目。新型コロナウイルスの蔓延で外出機会が減少し、室内で快適に過ごしたい需要が高まっていることに対応。購入頻度の高いアイテムを買いやすい価格で提供し、来店増につなげる。大西克史執行役員オープンコミュニケーション部長は、「こだわりの衣料品がいつも買いやすい、わけあって安い、という無印の価値を今こそ打ち出していく」と力を込める。
例えば、「クルーネック長袖Tシャツ」は婦人用1290円/紳士用1490円から990円に、「ウールシルク 洗えるクルーネックカーディガン」は3990円から2990円に、「縦横ストレッチチノパンツ」は同じく3990円から2990円に、「えらべる・足なり直角靴下」は3足790円から690円にそれぞれ値下げした(靴下は先行して9月に実施)。
良品計画ではオーガニックコットンやリネン、ノンミュールジングウールなど、動植物の生育環境や持続可能性に配慮した自然素材を使った衣料品を増やしている。今般の値下げにあたっては、こうした原料の調達ルートの見直しのほか、包装の簡素化、センター作業や店舗配送などサプライチェーンの点検を行うことでコストを引き下げている。
12月末には主力アイテムを中心とした第2弾の値下げも実施予定。今後も衣料品の価格を定期的に見直していく一方で、週末などの期間限定プロモーションや、シーズン終盤のセールなどでの値下げは減らしていく方針だ。
良品計画の2020年8月期業績(決算期変更により3−8月の変則決算)は、営業収益が前年上期比17%減、営業利益が96%減、最終損益は169億円の赤字となった。国内の無印良品は徐々に売り上げが戻りつつあるものの、特に衣料品はコロナによるダメージが依然根深いと見られる。
そんな中でも齋藤陽司執行役員衣服・雑貨部長は、「コロナでハレの日需要は減ったが、むしろ日常の暮らしに役立つ衣料品は伸びている」と分析。「無印は元からずっと普段着を扱ってきた。ここをきちんと強化することで、国内の衣料品分野で成長していくことはまだまだ可能」と語り、今後もニーズに寄り添った商品提案を深めていく姿勢を示した。