2030年度には25%の輸送力不足が生じる可能性
2024年問題を経て、物流業界の改革が急ピッチで進んでいる。今年7月に発表された国土交通省の「令和8年版交通政策白書」によれば、24年度は、前年に策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」などに基づく官民の取り組みにより、「輸送力不足を概ね克服」したとの認識が示された。
一方で人口減少により、ドライバーなど物流の担い手不足はこの先も進行する見込みであることから、政府は引き続き物流業界の改革を進めるべく、矢継ぎ早に手を打っている。
昨年4月には改正物流効率化法(物効法)の第1弾が施行され、事業者のみならず発荷主、着荷主らの責任も盛り込み、積載率の向上や荷待ち・荷受け時間の短縮に関する努力義務が課せられた。さらに今年4月には第2弾として、一定規模以上の特定事業者に対し、CLO(物流統括管理者)の選任と、物流改善に向けた中長期計画の策定を義務付けた。この計画の提出は10月末が締め切りだ。
将来の展望に向けては、今年3月、総合物流施策大綱(26〜30年度)を閣議決定している。30年度までを物流革新の「集中改革期間」と位置付け、将来にわたって物流を持続可能なものにするのが狙いだ。
30年度の輸送力不足について、政府は平均で約7〜25%(1.7億〜7.2億トン)生じると見ている。このため、総合物流施策大綱では、30年度に最大25%程度の輸送力不足が生じる可能性を前提に、最大26%程度の輸送力を確保するための各種施策を用意し、輸送量の推移に応じて必要な施策を講じるとしている(図参照)。

今後の物流施策について、総合物流施策大綱では五つの方向性を明記している。中でも、こと食品、日用品を中心とした流通業界で重要となるのが、②の「物流全体の最適化に向けた商慣行の見直しや荷主・消費者の行動変容、産業構造の転換」だ。荷主・物流事業者などの連携・協力による新たな商慣行の定着が待ったなしとなっており、積載率の向上や荷待ち・荷役時間の短縮に向けた努力義務についての積極的な周知・浸透を図るとともに、取引先・倉庫への受発注の前倒しなどによる適切なリードタイムの確保、貨物の入出荷日時の分散等を通じたトラックの混雑回避、「標準仕様パレット」などを活用した荷役作業の効率化を促すとしている。
「担当者任せになっていた」と大黒天物産は反省
この実現の一助として、まだまだ改善が求められる企業に対しては、「トラック・物流Gメン」が目を光らせており、是正・指導を行っている。23年の発足から今年6月30日までで、働きかけ2472件、要請197件、さらに要請後も改善が認められない悪質と見られる業者に対して勧告を5件実施した。
その勧告を受けた1社の大黒天物産は、23年にトラックドライバーに対して長時間の荷待ち時間を発生させていたことから是正を要請。その後も取引先などから改善されていない旨の情報が相当数寄せられたことから、25年12月に勧告に踏み切った。大黒天側は今年3月に改善計画を提出。同社は「要請後に外部の物流経験者を登用したが、その担当者が経営陣には耳触わりの良い報告をしつつ、現場の改善は進んでいなかった」と担当者任せになっていたことを反省。経営幹部によるプロジェクトを立ち上げ、長時間の荷待ちの原因を分析したうえで、荷待ち時間1時間以内を目指すとしている。
大黒天のケースのように、担当者任せにせずに物流を会社全体の課題として捉える企業は増えているが、足元の問題はまだある。
その一つが物流業者に支払う運賃以外の作業費とそれに伴う責任の所在だ。物効法は荷物の積み下ろしなどの荷役作業に適切な対価を支払うことを求めている。荷役費の支払いは多くが発荷主となるが、荷役作業は届ける倉庫の状況により様々。着荷主側の求めに応じて作業をした際に、もし商品を破損させてしまうなどの事故が起きた場合、発荷主、着荷主、ドライバーのうちの誰が補償するのかといったことが課題に上がっている。
トラック事業者を巡っては、今年4月以降、トラック適正化2法が順次施行される。この中には運賃の適正原価制度が盛り込まれた。トラック運送事業者が自ら引き受ける貨物の運送や他の事業者に委託する運送の運賃について、適正原価を下回らないことを義務付けるものだ。また事業者間における契約の範囲や運賃・料金の明確化、多重取引構造の是正も盛り込まれている。持続可能なサプライチェーンの構築には今後も発荷主、着荷主が自分ごと化する問題意識と実行力が欠かせない。26年は30年に向けた物流改革の好機と言えよう。





















