JR東日本はJR「高輪ゲートウェイ駅」直結の大型複合施設「高輪ゲートウェイシティ」(東京都港区)を2025年3月に「まちびらき」する。
高輪ゲートウェイシティは、JR東日本が手掛ける初の単独複合再開発プロジェクト。総事業費は約6000億円。JR品川駅〜田町駅間の長さ約1.6㎞、区域面積約9.5haの再開発事業で、総延べ床面積は約84万5000平方メートルを有する。
文化創造棟「MoN Takanawa:The Museum of Narratives」、外装デザインアーキテクトは隈研吾建築都市設計事務所が担当した
同街区は、オフィス・ホテル・商業施設で構成される複合棟「THE LINKPILLAR(ザ リンクピラー) 1」(north、south)「THE LINKPILLAR 2」、文化創造棟「MoN Takanawa:The Museum of Narratives」のほか、住宅棟やイベントスペースなどが集積。まちびらき時には「THE LINKPILLAR 1」がオープンし、高輪ゲートウェイ駅が全面開業。その後、順次各施設や店舗が開業し、街全体のグランドオープンは26年春を予定している。
なお、来春開業の「THE LINKPILLAR 1」のオフィスのリーシング状況はほぼ満床。駅開業後は日々の乗車客11万人を想定し、恵比寿駅と同等の人の行き交いを見込む。
10月30日に開催された「まちびらき150日前記者会見」に登壇した喜㔟陽一社長(冒頭写真右)は、「CO₂削減などの社会課題を解決し『地球益』の実現を目指す」と強調。水素由来の電気自動走行モビリティ(ロボットやドローン)の活用や、スタートアップなどとの連携によるヘルスケア事業にも積極的に取り組む方針を掲げた。
中核の商業施設はルミネが展開する「ニュウマン高輪」に決まった。延べ床面積はルミネ史上最大の約5万㎡で、約200店が出店する。ニュウマンは「THE LINKPILLAR 1」(south)の1〜5階、同(north)の1〜5階と28〜29階を来秋に全面開業、26年春に「THE LINKPILLAR 2」の2〜3階に開業する。
商業施設は、ニュウマンのほかに、JR東日本クロスステーション・デベロップメントカンパニーが駅構内に4店をまちびらきと同時に開業する。
同エリア(高輪ゲートウェイ駅西側)では、19年、品川駅改良工事の際に日本初の鉄道の線路のために築かれた石堤「高輪築堤」の一部が出土した。喜㔟社長は「私たち鉄道人にとって大切な記憶が宿る高輪築堤。私たちは鉄道人として街づくりの中でこれを継承し、保存し、また整備活用することで、イノベーションの地として大切な記録を次世代につないでいく」と語る。ランドスケープとして、レールを埋め込んだ石堤を再現するほか、ARプログラムを提供し、築堤にまつまる歴史資料展示などを行う。
同社はこの街全体を「100年先の心豊かなくらしのための実験場」と位置づけた。新しい日本の強さを表す“価値創造の街”を構想し、東京の新たなダウンタウンとなることを目指す。
冒頭写真、左から、東日本旅客鉄道(JR東日本)代表取締役社長喜㔟陽一社長、JR東日本文化創造財団 TAKANAWA GATEWAY CITY 文化創造棟準備室長 内田まほろ氏