カインズは、P&Gジャパンとのジョイント・ビジネス・プラン(JBP)に基づいた包括的なサプライチェーン協働を強化したと発表した。

 カインズにおけるP&G製品の取り扱いについて、P&G独自のAI需要予測システムの運用を加速するとともに、今年7月からトラックの帰り便を活用した共同輸送の本格展開を開始した。

 カインズは、2020年からP&G独自の「AI需要予測システム」の運用を開始、各店舗の売り上げ、在庫、将来の販促プランなど様々なデータを連携させ、AIによる高精度な需要予測を進めている。このシステムにより、P&G製品について、店舗ごとの最適な在庫計画や納品量、納品頻度の算出が可能となったことで、トラック単位・パレット単位のまとまった量を早期に発注する仕組みが構築できた。これは、輸送トラックの事前確保に加え、積載効率の向上にもつながるため、トラック輸送の効率化に寄与するほか、サプライチェーン全体での供給計画と店舗在庫が最適化され、店頭での欠品を防ぐとともに、店舗オペレーションの効率化も期待できるという。今後、カインズでは、P&G製品について、AI需要予測システムに基づく本部発注率をさらに高め、物流全体のより一層の最適化を目指す構え。

 また、23年10月からは、物流の2024年問題への対策かつ物流全体の最適化を目的として、北関東エリアのカインズ流通センターから店舗へ輸送するカインズの配送トラックが、帰り便でP&G高崎工場の物流センターを経由し、P&G製品を積載してカインズ流通センターに運ぶという、トラックの帰り便を活用した共同輸送の試験運用を開始。9カ月の試験運用の結果、全体の物量やトラックの待機時間、ドライバーの付帯作業の削減などを確認できたことから、今年7月には全国9拠点のカインズ流通センターを経由する共同輸送物流網を構築し、共同輸送の本格展開を開始した。

 今回の取り組みは、JBPにおける効率的かつ低コストでの輸送が可能な物流ネットワーク構築が実現した第一弾の事例で、両社は、引き続き共同輸送のさらなる拡大に向けた検討を進める方針だ。