楽天グループは8月10日、2022年12月期第2四半期決算を発表した。連結売上収益は前年同期比12.6%増の8936億円となったが、営業損失(Non-GAAP)は前期の911億円から1774億円と大幅に悪化した。営業損失は携帯電話事業における基地局設置などの先行投資が続いているためだが、携帯電話事業の影響を除くと819億円の黒字になるという。

 国内EC事業では、売上収益は前年比13.2%増の1903億円、営業利益(同)は同30.4%増の203億円と増収増益を達成。楽天市場利用者が「楽天西友ネットスーパー」や「楽天トラベル」など他のECサービスを利用する「クロスユース」も引き続き拡大しており、国内EC流通総額は同12.3%増の1兆3150億円と堅調に成長が続いている。楽天西友ネットスーパーの流通総額は同14.6%増となり、このうち物流センター出荷は同43.6%増と拡大。三木谷浩史会長兼社長は「2025年の楽天西友ネットスーパーの流通総額1000億円に向けて拡大し、利益も上げていきたい」と意欲を示した。

 物流事業では、日本郵便との合弁会社のJP楽天ロジスティクスが運営する楽天市場出店者向け総合物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」の契約店舗数が5000店舗を突破。物流事業を管掌する武田和徳副社長は「デリバリー効率の向上とスピードアップを図り、2、3年以内に当日配送を実現したい」と説明する。また購入金額3980円以上で送料が無料になる「送料込みライン」は開始から2年半経過し、導入率は93.3%となり、目標として掲げる95%以上も今期中に達成する見込みだ。導入店舗の流通総額の成長率は非導入店舗と比べて17.3ポイント高いこともあり、三木谷社長は「楽天市場事業の成長を牽引している」と語る。

 このほか、楽天モバイルの契約者数が第1四半期末の568万人から22万人減少したことを発表した。三木谷社長は「解約者のほとんどが7月にサービスを廃止した0円契約や月間データ使用量が1GB満たない利用者で、影響は少ない」と説明する。楽天証券ホールディングスの設立も発表し、楽天銀行に続き、楽天証券の上場準備も加速する方針だ。通期業績見通しについては、前期決算発表時と同様、連結売上収益や各利益の具体的な予想値を公表せず、「証券サービスを除いた連結売上収益は2桁の成長率を目指す」にとどめている。

(冒頭写真は、22年12月期中間決算についてオンライン会見で説明する三木谷浩史会長兼社長)