楽天グループは2月14日、2021年12月期決算を発表した。連結売上収益は前期比15.5%増の1兆6818億円となったが、営業損失(IFRS)は前期の938億円から1947億円と大幅に悪化した。減益は携帯電話事業の先行投資が引き続きかさんだことによるもの。だが、4Gの国内人口カバー率が今年2月時点で96%となり、契約数も550万件に増加。「22年12月期第2四半期以降、損益が改善する見通し」(山田善久副社長執行役員モバイルセグメントリーダー)だ。
主力のインターネットサービスセグメントでは、売上収益は前年比14.7%増の1兆34億円と創業以来初めて1兆円を超え、営業利益は同166.2%増の1075億円と大幅な増収増益を達成している。20年12月期にコロナ下の巣ごもり需要を背景に4兆円に達した国内EC流通総額は、ユーザーが定着したことで「引き続き力強い成長を遂げ」(武田和徳副社長執行役員コマースカンパニープレジデント)、21年12月期は同10.4%増の5兆円を突破、今後は10兆円を目指す方針だ。また楽天市場利用者が「楽天西友ネットスーパー」や「楽天ビューティー」など他のECサービスを利用する「クロスユース」も拡大したことなどにより、国内EC事業の売上収益は同18.1%増の7119億円、営業利益は同37.7%増の742億円と好調に推移している。
物流事業では、21年7月に日本郵便と合弁会社のJP楽天ロジスティクスを設立し、楽天が運営していた物流事業を承継したことで、サービスの向上と収益の改善が進んだ。同年11月にはユーザーの利便性向上と配送の効率化に向けた取り組みの第1弾として、日本郵便が配送する荷物を対象に、複数店舗の商品のまとめ配送を指定できる「おまとめアプリ」をリリースしている。三木谷浩史会長兼社長は、「多岐にわたるサービスを展開している楽天が全てを自前でやるのは難しい」として、ラストワンマイルは提携を中心に進める考え。
このほか、金融事業では楽天銀行の年内の新規株式上場を目指して準備を進めている。「資本を厚くすることで財務の改善や収益性を大幅に上げる」(三木谷社長)計画だ。
なお、22年12月期の通期業績見通しについて、連結売上収益や各利益の具体的な予想値を公表していないが、「証券サービスを除いた連結売上収益は2桁の成長率を目指す」としている。
(冒頭写真は、21年12月期決算について説明する三木谷浩史会長兼社長)