ミャンマーで最大シェアを誇るフードデリバリーサービスはピンクの制服が目印の「フードパンダ」で、それを追うのは緑の制服の「グラブフード」だ。前者はドイツ、後者はシンガポールが拠点の外資系大手。正確な数字はわからないが、街を走るピンクと緑の制服の比率はピンクが倍近く多い印象だ。フードパンダは2020年に日本市場に参入したものの1年半ほどで撤退したが、何が明暗を分けたのか。ミャンマーのフードデリバリーの歴史を紐解きながら解説したい。
まず、ミャンマー市場の大前提として、外食産業の規模の小ささがある。大和総研は11年の現地調査から、外食が盛んなベトナムと比べて外食産業の規模は12分の1程度と推察している。実際、最大都市ヤンゴンでも中心部を少し離れると飲食店がぱったり姿を消す。この根底には、ミャンマーが伝統的に専業主婦を良しとすること、食事とは他者に施すものであり、それによって金銭を得るのは卑しい行為だ、という仏教思想がある。11年の民主化以降、この傾向は薄れつつあるが、それでも1日3食全てを外食や中食で済ませる家庭も少なくないベトナムに対し、1カ月間まったく外食をしない家庭がミャンマーには多い。





















