ホームセンター業界で新たな再編劇だ。LIXILグループでホームセンター事業を手掛けるLIXILビバ(2019年度売上高1885億円、業界6位)と、新潟を地盤とするアークランドサカモト(同1127億円、11位)が6月9日、経営統合すると発表した。アークランド側がビバ側をTOBする形で、まずLIXIL以外の少数株主の株(約45%)を公開買い付けし、その後ビバを通じてLIXILの持つ残りの株(約53%)を自社株買いする。期間は7月21日までの予定だ。これが成立すると、両社は売上高3000億円となり、業界5位の規模に躍り出る。
背景にはLIXILがメーカー事業への投資の集中化を進めていることがある。またビバと離れることで、メーカー専業として他のホームセンター企業との取引がより進めやすくなるメリットもある。
またビバ、アークランドの両社にとっても、ホームセンター市場が年間約4兆円と横ばいが続く中、他業態からの侵攻が続いており、生き残りをかけるにはさらなる規模拡大と利益改善が必要と判断した。ともに建築資材中心の大型店で方向性が似ていること、出店地域が太平洋側中心のビバと、日本海側中心のアークランドでバッティングが少ないことも後押しした。ちなみにLIXILが事前に行った入札では、最終的にアークランドとジョイフル本田の1騎打ちだったとされる。
両社は統合後、まず2021年度にホールディング体制への移行を目指す。これにより事業会社の独自性を生かしつつ、共通の組織基盤はHDに集約する。主なシナジーとしては、PBの共有化と新規開発による利益率改善を掲げる。現在ビバ26%、アークランド10%のPB比率を大手並みの40%まで引き上げる。このほか当然NBのスケールメリットを生かしたボリュームディスカウントも想定されるが、数年後には現在の売上総利益率33.7%からの3%アップを目指す。
中期目標は10年後に売上高5000億円、営業利益400億円(営業利益率8%)で、HD体制移行後は「仲間を広げることが今回両社が一緒にやっていくテーマの一つでもある」(LIXILビバ渡邉修社長)として、さらなる同業の合流にも期待を寄せた。
ホームセンター業界では昨年4月に中堅企業が集まりアレンザホールディングスが発足するなど、再編が活発化している。足元はコロナ禍で勝ち組のホームセンター業界だが、その追い風もいつまで続くか不透明なまま。今後も引き続き、中堅企業の動向が気になるところだ。