ファミリーマートは、6月末からAIを活用した新たな発注システム「AIレコメンド発注」の運用を全国500店舗で開始した。同システムは、膨大なデータを分析・学習することで、各店舗におむすびや弁当、サンドイッチなどの最適な発注数を自動で推奨するもの。これにより同社は、店舗の業務効率化に加え、品揃えの最適化と販売機会の最大化を目指すという。

 同社ではこれまで、店舗の発注業務を自店舗の実績や経験に基づき実施する傾向があり、その結果、商品の欠品による販売機会ロスや廃棄ロスの発生が課題となっていた。この課題を解決するため、AI技術を積極的に活用し、より精度の高い発注を実現することで、店舗運営の最適化に繋げていくという。

 同システムの主な特長は、①高精度な販売予測、②品揃えの最適化、③売り場ボリュームの自動調整とフードロス対策、④業務効率化、⑤柔軟な調整機能の5点。①では、AIが過去1年間の販売実績や店舗周辺の通行量、気象データなど膨大なデータを分析・学習し、日別・便別・単品別に最適な販売予測数を算出する。また②では、自店舗と立地環境が同様であることに加え、利益額が高い店舗を「お手本店」として販売実績を参照し、自店にない売れ筋商品など、これまで発注されていなかった商品を推奨することで、店舗の品揃え改善を提案する。③では、販売機会ロスを防ぐために、次の納品までの在庫の繰り越し分を考慮した「売り場ボリュームを保つ数」を自動で算出・加算。これにより、適切な商品陳列量を維持し、販売機会の最大化を図り、ロス削減にも繋げていく。④では、AIが推奨値を自動で算出することで、発注業務にかかる時間を1週間あたり約6時間削減し、発注担当者の負担を軽減。⑤については、AI推奨値は、1日4回更新され、店舗の状況に合わせて手動で調整することも可能。新商品や販促商品、イレギュラーなイベントなど、AIが考慮できない要素に対しては、店舗の判断による調整を推奨する。

 同社は今後、500店における売り上げや店舗収益の効果をふまえ、展開店舗の拡大を目指していく。