「旨さ、別格。だし屋の鍋」ブランドに刷新
「旨さ、別格。だし屋の鍋」をキーワードに、鰹節屋・だし屋のヤマキが鍋つゆシリーズ8品を今秋冬に全面刷新を図る。長年培った鰹節屋・だし屋の技術を生かし、従来シリーズ「だしで味わうだし屋の鍋つゆ」から進化し、今まで以上に〝だし〟のうま味や風味に徹底的にこだわって開発。さらにロゴも含めたパッケージ全体を「旨さ、別格。だし屋の鍋」ブランドに統一し、鍋つゆシリーズ全体で〝だし〟を訴求していく。
その中でも今秋冬に最も注力するのが「豚しゃぶ野菜鍋つゆかつお」（750g）だ。鹿児島県枕崎産鰹節のだしにえびのうま味を加え、「だし」で野菜と豚肉を美味しく食べるという新たなしゃぶしゃぶの食べ方を提案。2011年発売以降、売り上げは毎年伸びており、昨年度は同社鍋つゆの売り上げナンバーワン商品までに成長している。特に昨今では外食店を中心に豚しゃぶが人気となり、家庭用では同商品が牽引役となり昨年の豚しゃぶカテゴリーは大きく伸長している。
家庭用事業部液体グループの髙津真人担当課長は、「昨年は暖冬で鍋つゆ市場全体が伸び悩む中で、当社の『豚しゃぶ野菜鍋つゆ』はしゃぶしゃぶブームを背景にファミリー層を中心に購入が拡大。配荷店も毎年増え続け、発売当時に比べ274％まで販売金額が増えています」と力強く語る。
この追い風を背景に、同商品の姉妹品となる新商品「豚しゃぶ野菜鍋つゆ真鯛ゆず」も8月に登場した。あっさりとした味ながらも深みのある上品な真鯛のだしに、柚子でアクセントを加えた。
またロングセラーの主力商品「地鶏だし塩鍋つゆ」（700g）をリニューアル。軍鶏系地鶏「阿波尾鶏」のだしに高知県産生姜を効かせコクのある塩味の鍋つゆに仕立てた。10年に放送されたNHKの大河ドラマを機に高知県出身の坂本龍馬をパッケージに掲載して販売。当時珍しかった塩フレーバーの鍋つゆとして多くのファンを獲得し、改廃の激しい鍋つゆ市場の中で安定した地位を築いてきた。今回は濃厚な地鶏のうま味を増した。
同じ開発コンセプトの姉妹品である「黒豚だし醤油鍋つゆ」も強化。18年に放送されたNHKの大河ドラマを機に、西郷隆盛が好んで食べた黒豚を使用した鹿児島県の郷土料理に着目して開発。鹿児島県産黒豚だしのコクに鰹節のうま味を効かせた。
鍋つゆ全体での店頭施策では、全面刷新に合わせて、鍋つゆ初の店頭露出に最適な購買喚起機能を備えた「プロモーション段ボール（プロ段）」を段ボールメーカーのレンゴーと共同開発した。プロ段は段ボールに商品のパッケージを装飾しているので、POPなどを用意しなくてもそのままプロ段を積むだけで季節感と活気のある売り場を訴求できる。エンドや生鮮売り場で目立つだけでなく、什器への詰め換えや定番棚への補充作業も軽減でき、店舗の作業効率向上につながる。これらの新商品と販促強化策を打ち出し、ヤマキは今期、鍋つゆシリーズの2桁伸長を目指している。
使い切りパックの商品群で鰹節使用ユーザーが拡大
同時に1本で味が決まる液体調味料「割烹白だし」、「割烹白だし焼きあご仕立て」（500ml）を使った手作り鍋メニューも提案していく。今上期はコロナ下で家庭の調理メニューが広がる中で、白だしが煮物からうどんまで幅広い料理シーンに対応。外出自粛後も白だしの便利さに気づいたユーザーが定着し、同社の白だし商品は2桁以上の売り上げで伸長している。今秋冬には〝だし〟を軸に秋冬に食べたい「だし香る白だしおでん」、「白だししゃぶしゃぶ」などの和食メニューで白だしの良さを伝え、さらなる使用機会の拡大を図る。
ヤマキ祖業の鰹節事業では、環境変化に対応した使い切りパックを強化している。1gタイプの「使い切りかつおパックマイルド」や、1.5gタイプの「氷温熟成使い切りかつおパック」、「新鮮1番使い切りかつおパック」などの商品群で小量用のニーズに対応。2人世帯などが増加し、さらにコロナ下で調理する人も増えていることから、縮小していた鰹節市場から一転、同社の使い切り鰹節パックは前年比110％と伸長し始めている。
ヤマキではこれらの商品開発の基本となる、〝だし〟の良さ、うま味を国内、世界に広めるプロジェクト「だし活プロジェクト」を昨年から実施。ユーチューブ動画などでだしを使った調理を紹介している。野菜が苦手な子供や、だしへの認知が低い若者層などに、だしの良さを理解し、共感してもらう啓発活動を推進していく方針だ。
（冒頭写真は「豚しゃぶ野菜鍋つゆ真鯛ゆず」と「豚しゃぶ野菜鍋つゆかつお」）
