「隣の店より1円安い」が命取りになりかねない

 ――物価高騰が続く中、お客の購買行動に変化はありますか。

 横山 買い漁るようなことはありませんけど、値上がり前にちょっと買っておこうという傾向は何回かありました。昨年10月に一気に6000品目以上値上がりしたことで、少しインフレ危機感みたいなものは平準化しましたがね。ただ問題はこれから。(値上げ続きで)心理的な警戒感もずいぶんありますから、冷静に見て、買い溜めするものしないものの判断をされると思います。

 ――小売業もお客も値上げを受け入れているのでしょうか。

 横山 私の62年の小売業経験の中でも、今のインフレ感覚っていうのは、これまでとちょっと違う感じがするんですね。というのはいつも私どもはお客さんの動向ばかり見ていますけど、今回はメーカーの動きにかなり影響されていますから。これまではメーカーが値上げすると言っても2桁上がることはあまりなかった。5、6%上げてと要求されて、2、3%に収まるといった交渉を繰り返しやってきたんですけど、今回は油みたいに1年間で倍ぐらいになっても、まだ足りないみたいな状況。米油を扱ってみたりもしていますけど、それだけでお客さんが満足するかと言えばそうもいきません。結局、値上げはまあしょうがないと認めざるを得ない。程度にもよりますけどね。(社員に向けた)新年の挨拶にも、新価格体系に移行せざるを得ないと認めています。本当はそういうことを言いたくはないんですが。

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